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#1245/1770 研究室「パンドラの箱」 ★タイトル (QYA33902) 96/11/ 1 17: 5 ( 71) ニツコー>66Q&A30番              三鷹板吉 ★内容 30.チクロンBによって燻蒸された区画を完全に換気するには、どのくらいの時間   がかかったのか? *IHRの主張  通常は約20時間である。全体の手続きは、きわめて複雑で技術的なものである。 ガスマスクの着用が必要で、熟練技術者のみが作業に従事させられた。 *ニツコーの回答  違う。「20時間」という数字は、さまざまな理由で不適切である。  最初に、この数字は、換気装置無しの普通の事務所もしくは一般家屋における使 用を意図したものである。強制換気がほとんどなされなかったから、この時間中は 建物に入ることができなかったのだ。その上、じゅうたん、カーテン、家具など通 常の備品があったから、新鮮な空気を入れ替えるにはいっそう時間がかかった。他 方、ナチスのガス室は、空っぽのコンクリート製の部屋であり、強制換気装置がつ いていたから、空気を入れ替えるには5分もあれば十分だった(グットマン「アウ シュビッツ 死の収容所の解剖学」 1994年 p.232を見よ)。強制換気システムが 取り付けられていないガス室もあった。そこでは、死体を運び出す人間はガスマス クを装着した。  さらに、恐るべき安全係数が認められていた。通常の安全基準は戦時には適用さ れない。特に、千人もの人間を可能な限りすみやかに殺害するのが目的の時は。ド イツ人は一般的にガスについて豊富な経験を持っていた。チクロンは、しばしば害 虫駆除に使用されたから、それについては特に豊富な使用経験があった。  おそらくホロコースト否定者の次なる主張は、ドイツ軍は絶対に連合軍の飛行機 を撃ち落とすことができなかった、というものだろう。なぜなら、FAA(アメリ カ連邦航空局)の安全基準に従って適切に安全ベルトを締めている人間が、爆撃機 の機銃を撃つことなど不可能だからだ。  その上SSは、死体をガス室から引き出し焼却するのに、強制労働を課せられた 囚人によるゾンターコマンド(三鷹注:ユダヤ人によって編成された特別部隊)を 使用していた。SSが、ゾンターコマンドが残留ガスにより被害をこうむる可能性 を大して気にしなかったということは、言うまでもないだろう。どのみち彼らは、 死刑宣告を受けた上で酷使されていたのだ。−−新しいゾンターコマンドの一隊が 最初にすることは、前任の一隊の死体の焼却だった。  たとえ上記の「20時間の換気時間」が真実だったとしても、それは、合衆国の処 刑用ガス室でシアンガスを使って処刑された人間の死体は死後20時間椅子に縛りつ けられたままにされる、ということを意味するだけだろう。  疑問31番と、アウシュビッツFAQの適当な箇所を見よ。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− *三鷹の感想  疑問29番の回答であまり触れられていなかった「神経ガス」について、ちょと補 足しておきましょう。第一次大戦後、ドイツが開発した神経ガスは、タブン、サリ ン、ソマン、VXガスなどです。サリンやVXはオウム事件で実際に使用されたの で、その毒性がどのようなものか、広く知られることになりました。  これらの神経ガスと青酸ガスとの相違は、その毒性よりもむしろ、取扱いの難し さであった、と三鷹は見ています。  疑問30番の回答にあるように、チクロンBは殺虫用燻蒸剤として、一般家庭やオ フィスで広く使用されていました。当時の取扱説明書の写真によれば、開缶して使 用する際に、使用者は皮膚や頭髪を露出した通常の服装で、ガスマスクを着用して います。当時のドイツの安全基準では、チクロンBから発生する青酸ガスは、ガス マスクで十分防護可能だとされていたのでしょう。 (現代アメリカの処刑用ガス室では、もちろん、職員は現代アメリカの安全基準に 従って空気ボンベと完全防護服を使用します。この両例を故意に混同するのはホロ コースト否定者の詭弁の一つですので、ご注意を)  対して神経ガスは、ガスマスクだけでは防護できず、ごく少量皮膚に付着しただ けでも重大な障害をもたらします。オウムの地下鉄サリン事件の際には、実行犯自 身がサリン中毒を起こしました。きわめて取扱いの難しいガスであると言えましょ う。ナチスがガス室での大量虐殺用に神経ガスを採用しなかったのは「安全性」に おいて問題があったためだろう、と三鷹は想像しています。