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#1249/1770 研究室「パンドラの箱」 ★タイトル (QYA33902) 96/11/ 6 14:44 (101) ニツコー>66Q&A33番              三鷹板吉 ★内容 33.ナチスがユダヤ人を絶滅したと強弁されているところの、正確な手順とはいか   なるものか? *IHRの主張  物語は、人間で一杯の部屋に天井の穴からガス缶を落とすところから始まって、 シャワーヘッドを通じての配管、「蒸気室」、「電気死刑機械」に及んでいる。 「何百万」ものユダヤ人がこのような方法で殺されたと強弁されている。 *ニツコーの回答  正確な方法については収容所によってさまざまだった。異なった殺害方法が−− 時にはほんの少し違うだけだが−−それぞれ別の収容所で使われたし、同じ収容所 の別の場所でも同様だった。  アウシュビッツ収容所の、特にクレマ1からクレマ3においては、チクロンBが 天井の穴から落とされた。この投入孔は、連合軍の偵察機がたまたま撮った航空写 真でも明らかである。ラインハルト作戦の収容所では、強力なエンジンからの排気 ガスが建物の中に送りこまれた。エンジンの多くは、捕獲されたロシアの戦車から 取り外されたものだった。  シャワーヘッドは実際にいくつかのガス室に存在した。目撃証人がそのことを証 言しているし、備品目録のような戦時のナチス文書がそれを確証している。(その 文書の写真か、プルサックの「アウシュビッツ:技術と運用」 1989年 pp.2361,43 8を見よ) しかしながら、すべてのケースにおいて、シャワーヘッドは偽装にす ぎなかったと考えられている。シャワーヘッドは何にも接続されておらず、そこか ら毒ガスが出てくることもなかった、と。シャワーヘッドは、すべては平常である と犠牲者を安心させ、彼らがガス室に詰めこまれる際のパニックを防ぐためのもの だった。このことは、戦後ナチが証言している。  およそ300万人のユダヤ人が約3年間に6つの主要な絶滅収容所でガス殺された。 残りは、主として東部戦線の占領地で、数多くの大量処刑によって殺された。また、 数多くの小規模な収容所やゲットーにおいて、飢餓や奴隷労働のような非人道的な 扱いによって殺されたのだ。  「蒸気室」と「電気死刑機械」に関しては−−混乱した目撃証人の証言がある。 いくつかのケースは、収容所を外からスパイしたポーランド人による証言だ。一例 として、ラインハルト作戦の収容所の殺戮プロセスを目撃した人間は、犠牲者を窒 息させるエンジンの排気煙がガス室から吹き出すのを見て、それを蒸気だと勘違い したのかもしれない。殺戮プロセスの全体を、よく見える近くから目撃したナチス 自身もしくは他の人間の中には、このような誤った物語を繰り返す人間は一人もい ないことが分かっている。  このような物語には、それを裏付ける証拠も補強証言もない。ゆえに戦犯裁判に おける告発としても採用されていないのだ。言葉を換えて言えば、これらの間違っ た物語は、ナチスが冤罪で告発されたという証拠ではない。−−むしろ、これらの 裁判が公正に行なわれ、システムが健全に働いていたという証拠なのだ。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− *三鷹の感想  「蒸気室」「電気死刑機械」云々について補足しておきましょう。これは、トレ ブリンカなどラインハルト作戦の絶滅収容所について、戦時中にアメリカのマスコ ミが流した「誤報」です。トレブリンカ絶滅収容所では、実際はエンジン排気ガス を使用したガス室によってユダヤ人を虐殺していたのですが、それを「蒸気を使っ て殺している」云々と報道したのです。  ホロコースト否定者はそれを針小棒大に取り上げて「戦時のプロパガンダによる でっちあげだった」てな決めつけをなし、「事実誤認に基づく戦犯裁判は無効だ」 などと主張しているのです。  ちょっと考えてみればおかしな物言いだと分かります。絶滅収容所におけるユダ ヤ人虐殺が捏造だったとしたら、なぜ捏造者は偽情報を「ガス室」と統一し首尾一 貫させずに、「蒸気」「電気」云々と余計なバリエーションを加えたのでしょう?  はたまた否定者が主張するように、戦時下の「ガス室プロパガンダ」を元に「ガ ス室」がでっちあげられたとするならば、なぜ捏造者は同様に「蒸気室」「電気死 刑機械」などをもでっちあげなかったのでしょうか?  「蒸気室」云々の誤情報がどこに由来するのかについても分かっています。時は 1942年、今まさに虐殺が行なわれているまっ最中のトレブリンカから、80キロほど しか離れていないワルシャワ・ゲットーのユダヤ人たちは、トレブリンカに移送さ れた同胞の運命を確認すべく、情報収集を行なっていました。「ゲルマン人」的風 貌の金髪の青年がスパイとして選ばれ、厳重に封鎖されたゲットーから脱出し、ト レブリンカへ向かいました。このようにして、さまざまな情報がゲットーに届いた のです。    トレブリンカ−−墓掘り人についてのニュース(ラビノヴィッチ,ヤーコプ)   、貨車から脱走したストックのユダヤ人……金と外国通貨をたずさえてきた−   −みな異口同音に「入浴」の話、膝に黄色い当て布をつけたユダヤ人墓掘り人   の話を伝える。−−殺害方法は、ガス、蒸気、電気。    移送者の家族が派遣した調査者たちが、トレブリンカについてのニュースを   持ち帰った。−−トラクターの話。一説では、トラクターが焼かれたユダヤ人   の灰を土に鋤き込んでいるという。もう一説では、トラクターが溝を掘り、そ   こに死体を埋めて(土をかぶせている)    トレブリンカ、ユダヤ民衆の目に明らかになってきた−−彼らは最近の大量   虐殺を知るにいたった。            (リンゲルブルム「ワルシャワ・ゲットー」 pp.258,259)  ゲットーのユダヤ人歴史研究者たちは、日々の記録を克明に書き残していました。 リンゲルブルムは彼らのリーダーの一人で、以上の引用は彼の日記の一部です。こ の記録は戦後、ゲットーの廃墟から発掘され、ひとまとめにオネグ・シャバット文 書と呼ばれています。  この、誤情報をも含むワルシャワ・ゲットーからの情報は、レジスタンスの地下 組織を通してロンドンの亡命ポーランド政府に届けられ、イギリスの放送局によっ て放送されました。アメリカのマスコミが流した「誤報」も、同じソースによるも のと見てまず間違いないでしょう。  誤情報を捏造の証拠とするホロコースト否定者の主張は、きわめて説得力に乏し い、と三鷹は考えます。