日垣隆「『買ってはいけない』はインチキ本だ」

(99/08/11)

 「文藝春秋」9月号の記事である。「先を越された」というのが三鷹の感想(笑) 三鷹自身、この本のギマン性について確信に近いものを感じつつ、ウラをとるヒマがなかった。

 例えば「Aの素」。三鷹は「Aの素」を敵視するにおいて、余人の追随を許さない自信こそ無いが、あの真っ白な調味料のヤバさは生活実感的に痛感している。ちゃんととったダシを使った食事を一週間続けた後で、「Aの素」たっぷりのラーメンを食えば、舌が「Aの素」で焼け、熱をもち、腫れぼったくなる。これは誰にでも分かるはず。それ以前に、本当のダシの味を知れば「Aの素」の不味さは論ずるまでもないことだ。「カツオ風味のふんどし」も同じ。

 「安心安全だろうが、舌が焼けるし、そもそも不味い」という正論をしっかり書くだけで「Aの素」に対する十分な批判になると思う。もちろん、三鷹みたいに伏せ字に逃げずにね(笑) それを、赤ん坊の脳味噌が破壊される、てなセンセーショナルなタワ言を並べ立てるのが「買ってはいけない」だ。読者をよほど無知蒙昧な馬鹿阿呆タワケと思っているのだろう。

 マスコミの片隅に祿を食む人間の一人として申し上げれば、もしも本当に「Aの素」が赤ん坊の脳味噌を破壊するなら、マスコミは大々的なキャンペーンを展開して「Aの素」を徹底的に糾弾するだろう。そうした糾弾が社会正義に照らして必要なのは論をまたないだろうし、加えて本も売れる(笑) 現に「買ってはいけない」がン十万部を突破しているように。

 逆に、タワ言がタワ言であると指摘され、否定されたらどうなるだろう? 今まで「Aの素」はさまざまな中傷に晒されてきた。「蛇の粉」だの「原料は髪の毛」だの。そうした中傷同様、今回のタワ言も一蹴されて終わることだろう。その結果、「安全安心なAの素」というメッセージが、さらに強化されて流通するだろう。まったくの逆効果しか生み出しはしない。

 それはそれとして、この本が売れる理由は十分理解できる。読者が日頃漠然と抱く「大量生産の有名な製品」に対する不安を煽り、「敵」を具体的に明示しているからだ。そこに「マスコミが報道しないのはメーカーの圧力が怖いから」てな陰謀論がトッピングされる。「我のみが真実」とのイメージ戦略である。

 こんなトンデモ本に乗せられちゃダメだ。ダメダメダメ(笑)

厨 房へ。

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