フグの肝を食す
(99/11/14)
団鬼六のエッセイに「フグの喰べ方教えます」という一編がある。猛毒のトラフグの肝をこっそり出してくれる店の話だ。肝を酒に溶いてフグ刺しに塗って食うと、「その美味たる事、心、高砂の処にさまようばかりにして、陶然と酔いを発して天地皆、はてしなく広がる心地になる」のだそうだ。要するに「超絶美味しい!」ちうことね。何でもトラフグの肝、卵巣の殺人量は10人ほどで、1匹の10分の1なら食っても平気なんだそうだが、酒が非常に旨くなるので、ついおかわりを重ねてしまい、そうしたケースが死亡事故につながるのだそうだ。
三鷹はこのエッセイを読んで以来、機会があったら是非一度試してみたいと思い続けて、果たせぬまま現在に至るのだが、先日仕事関係でお付き合いしている女性から、「地元じゃ普通に食べてます」という話を聞いて驚いた。大分出身の20代の女性である。彼女の地元でも、もちろん表向きは肝を出すのは禁止されているが、地元の客なら特に「常連」で無くとも、オーダーすれば当然のごとく出てくるとのこと。
「そういえば東京のお店じゃ出ませんよね」と言う。これは団鬼六のエッセイにもあるが、フグチリの鍋に肝を溶かし入れるとスープの味が格別になるとかで、彼女が言うところの「地元での普通の食べ方」がそれだった。肝が入っていない東京のフグチリは、どんな高い店で食べても、まるっきり物足りないのだそうだ。
ううむ、ますます食ってみたくなった。でも、大分まで行ってフグ料理屋に入ったとしても、フリの旅行者相手には、まず出しちゃくれないだろう。うまい手を一つ思いついたが、ちょとここじゃ書けましぇん。ウカツに真似して下手打って死ぬ奴が出るとまずいかんね。
ちなみに上記の団鬼六のエッセイは「果たし合い」(幻冬舎アウトロー文庫)に収録されている。他のエッセイもどれも皆、実に面白いので、一読をお薦めする。
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