トリッパ・ア・ラ・ロマーナ(改訂版)

(99/11/24)

 フレンチ風に気取ったネーミングだが、要するに「牛の内臓のトマト煮込み」。イタリアの庶民料理だという。トリッパとはハチノスのこと。本当の「蜂の巣」ではないよ。牛には胃袋が4つあるが、その第2胃をハチノスと俗称する。ちなみに第1胃はミノ、第3胃はセンマイと称し、焼肉屋のメニューじゃお馴染みだ。第4胃はギアラというらしいが、どんなものであるか、食えるのか、食って旨いのか、三鷹は不勉強にして知らない(※)。

 そのトリッパは、三鷹はもっぱら池袋東武地下の食肉売場で買う。100グラム80円。同じ牛でも、霜降り肉の10分の1以下のお値段だ。塊で半キロ買おう。それと、脂身が多めのハムを少し。50グラムもあれば十分。セロリを2本、人参1本、タマネギ1個、トマトの缶詰1、ニンニクを購入する。他にパルメジャーノチーズ(粉チーズでも可)、オレガノ、オリーブオイル、塩を用意。

 さてお料理開始。まずトリッパを丸のまま下煮する。固い草を食って、それを消化している牛の胃袋だから、頑強な筋肉の塊だ。車のタイヤのように固い。内側に蜂の巣のような細かいヒダがついており、俗称の由来であると分かる。すでに大雑把にボイルしたものを冷凍して売っていたりするが、そのままでは固くて使えないし、独特の匂いも残っている。大きな鍋にたっぷりお湯を沸かして20分茹で、お湯を捨てる。これを数回繰り返して、脂と臭みを抜き、柔らかくする。セロリの葉を入れて茹でると匂いが抜けやすい。

 その間にニンニクは1片を薄切りに。セロリ、人参、タマネギはミジン切りにする。ハムは細切りに。

 下煮がすんだトリッパを5センチかける5ミリぐらいに刻む。一切れ食ってみて、今一つ固いようならば、5ミリを3ミリにする。

 フライパンを熱くしてオリーブオイルを入れ、ニンニクを弱火で熱してエキスをオイルに移す。焦げる前にニンニクを取り出す。強火にして、タマネギ、セロリ、人参、ハムの順に入れて十分に炒める。

 煮込み用の鍋(三鷹ん家ではビタクラフトの多層鍋を使っている)に、炒めた野菜とトリッパ、缶詰トマト、塩少々、オレガノ、水適量を入れ、蓋をしてグツグツと煮る。要するにトリッパが柔らかく煮えてトマトや野菜の味が十分染みたら出来上がりなのだが、2時間は煮てほしい。火が強くて水気が足りなくなったら随時水を足す。塩気は仕上がりを想定して適宜調整する。ここらへんは煮込み料理の「基本」だよね?

 出来上がったら皿に盛りつけ、パルメジャーノをすり下ろして振りかける。もしくは、粉チーズを振る。パルメジャーノの香りがトリッパ煮込みの匂いと絶妙のコンビネーションをなす。赤ワインにぴったり。

 煮込み料理の常道で、いったん鍋ごとゆっくり冷ますと材料に味が染み、深みが出る。一晩置いてから温めなおすと、一段と旨い。

 これは、元々は産經新聞の料理コラムに出ていたレシピで、「トリッパ・ア・ラ・ロマーナ」(ローマ風トリッパ)というスカしたタイトルも記事のまま。自分で3回作ってみて、ようやっとコツがつかめた。記事に表記されていた「調理時間」は1時間だったが、トリッパの下煮は別としても、最低2時間は煮込まなければ、絶対に出来ない料理だ。産經の記者は自分で実際に料理を作らずに、取材先が提供したレシピをそのまんま載せているんじゃないか? 甘いなあ。


※その後、ある焼肉屋でギアラを食う機会があった。見た目も味も白モツ(腸)と変わらないが、えらく脂っこい。これならば以前にも何度か食ったことがある。牛の4つある胃のうち、本来の胃は第1胃のミノで、第2胃から第4胃は腸が変化したものであるという。一番「腸っぽさ」を残しているのが第4胃のギアラなのだろう。(2000年8月20日追記)

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