魔窟探訪−中野ブロードウェイ−
(2000/09/26)
三鷹に住んでた時分はよく徘徊していた。このビルに足を踏み入れるのは、そうだな、15年ぶりぐらいだったろうか。噂には聞いていたが、おたくの魔窟、マニアの九龍城砦とでも言うべき、異様なスポットに変貌していた。
メインはもちろん「まんだらけ」だ。ビル内の5、6箇所に大小の店舗を構えていて、扱っているのもまんがだけじゃなく、セル画やらフィギュアやらあれこれ。古い看板や広告人形などを扱う店まである。他所の「まんだらけ」とは一味も二味も違ったディープさだ。
周辺も負けちゃいない。古本屋、セル画屋、フィギュア屋に加えて、ゲームセンター、アジア系輸入雑貨屋、モデルガン屋、ナイフ屋、「どこで着るんだ?」てな珍妙な服を並べた服屋、占い屋、同人誌の印刷所、なぜか医院や不動産屋も入っている。間口が半間しか無いような、奇妙に小さな店が並んでいる。つげ義春の夢まんがに登場するビルのようだ。
3階の「タコシェ」なるアングラ専門書店で、山野一の「四丁目の夕日」扶桑社文庫版を見つける。新刊時にうっかり買い洩らしたら、それっきり店頭から消え失せ、神保町じゅうの書店を回ったがどこにも無かったものだ。さらに4階の古本屋で、あのカルトジュヴナイル「《光車》よ、まわれ!」を発見。それも、初出のちくま少年文学館版だ。値段を聞いたら3500円だった。10秒ほど迷ったが、結局買わなかった。同じ本をすでに持ってるし、交換や転売目的で買うにはちょと高い。
買いはしなかったが、珍しいものに出会ったという「感動」はあった。古本屋でこの本を見たのは、学生時代に早稲田で一度あったきりだ。こういうことがあると、このビルには自分が探しているものが全部あるのではないか、てな幻想にかられる。
ブロードウェイを出た後、早稲田通りを歩く。不思議にレトロな雰囲気の店が目に付く。家具屋、洋品店、中華料理屋、不動産屋、喫茶店。香港の油麻地あたりの裏通りを歩いているような感覚を覚えた。ブロードウェイ効果が持続していたせいだろうか。都心に戻る中央線の車内で、「四丁目の夕日」を読む。期待してた以上の非道い話で、期待通りに不愉快になる(笑)
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