藤正巖&古川俊之「ウェルカム・人口減少社会」
(2000/11/05)
ちょと前に「超少子化の何が悪い?」なる文章を書いた。世間一般に通用している「少子化=悪」と決めつける言説の胡散臭さを、三鷹なりに指摘したつもりだったが、理論的根拠がやや薄弱だったかもしれない。その三鷹説を補強せんがために、今ここに、強力な論文が出版された。(ンなわけはない) 藤正先生、古川先生、ありがとう(笑)
内容を、暴力的なまでに要約すれば「日本の少子化は不可避だが、未来は明るい」ということだ。良かった。これで安心だ(笑) 安心する以上に、驚くべき未来予想が述べられていた。「少子化は人類全体のトレンドであり、世界人口は2033年の73億5000万人をピークに、減少に転じる」という予想だ。
その理由は、現在のヨーロッパや日本を見れば分かるように、社会が安定し、ある程度の経済的豊かさが実現すると出生率が低下する、という経験的事実だ。女性一人が生涯に生むこどもの数を「合計特殊出生率」と言う。この数値が2.1を割ると人口は減少する。先進国のみならず、「文明社会にまともに入り、その国の経済が安定成長を始めるかまたは始めたことのある国は、すべて将来人口が減少するようになるだろう」と論文は述べる。そうした現代国家の合計特殊出生率は最大でも1.8である。「いまや人口爆発の発火点と目されたインドでさえ、少子化は眼にみえる形で現実化されている」のだそうだ。
世界人口の増加は止められず、その結果、世界レベルの飢饉が発生し、人類はレミングのように大量死する…てな未来予想をたくさん読んだ記憶がある。それ以前に核戦争や環境破壊や、あるいはエイズなどにより、人類が激減するてな、暗黒の未来図も。安定と豊かさが世界人口を減少させる、という予想を読んだのは、実にこれが初めてである。
(ちなみに「レミングの集団自殺」というのは「雪男」同様、検証不能のガセネタであると、最近聞いた)
日本人も含めて、先進国民のみが減るのなら、あまり気にしないが、人類全体が減少するというと、安心ばかりもしていられない。出生率が最大で1.8というのは、人類全体としては9割の再生産率となる。ごくごく大雑把に、1世代が30年として世代交代のたびに人口が1割減となるとすると、200年で世界人口は半減する。500年で1割以下になる。これは、「人類なる生物種」としては、ゆるやかな滅亡とも言えるのではないだろうか?
まあ、世界人口の減少の結果、人類全体が「貴族」化した時点で、絶滅は不可避だろう。「核兵器を使った決闘」とか貴族的なヤンチャな血気でイッキに絶滅するか、植物的な静穏のうちに滅んでいくか、はたしてどちらだろうか? それはそれで興味深いところであり、三鷹としては、ぜひその場に居合わせて「最後の人類」の一人となってみたいものだが、ちょと無理だろう。
藤正巖 古川俊之「ウェルカム・人口減少社会」
文春新書 2000年10月20日発行 660円
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