大手新聞が決める雑誌の「販売自粛」
(98/03/29)
サカキバラ少年の検事調書を掲載した「文藝春秋」を、一部書店が販売自粛しました。その際に、三鷹が小耳にはさんだ話なんですが、この手の「事件」が発生すると、大手新聞社が、取次、大書店、キヨスク、コンビニなど流通各社に、以下のような「電話取材」をするんだそうです。
「明日発売の文藝春秋の内容には問題がありますが、おたくでは扱いますか? 扱う場合はそのことを報道しますが、それでもかまいませんか?」
で、「他所では発売を自粛した文藝春秋を、**は扱った」と報道されたくない流通各社では、販売を「自粛」することになるワケです。
そもそも書店というのは、経営者が地元の知識人を自認する方だったり、相当の気骨の持ち主であったりして、「取材」に対しても、「ウチじゃ文藝春秋あり枡とビラ張って、平積みにして売ってやる」と逆に反発する場合もあるのでしょうが、キヨスクだとかコンビニだとかの雇われ社長なら「危うきに近寄らず」てな判断もあるでしょう。
で、現在日本で雑誌流通の主力を担っているのは、書店ではなくコンビニやキヨスクですから、大手新聞社の「電話取材」にもかなりの実効力が期待できる、というワケです。
「文藝春秋」販売自粛の翌月、今度は「新潮45」が「自粛」されちゃいました。1998年2月18日の朝日新聞夕刊社会面は、以下のように報じます。
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少年実名報道の「新潮45」 一部書店が販売中止
大阪 堺市で女児ら三人を殺傷したとして逮捕され、大阪家裁堺支部で審判中の十九歳の少年の実名と顔写真を、新潮社の月刊誌「新潮45」が掲載した問題で、一部の書店は同誌の発売日の十八日、「少年法に抵触する」などとして販売中止に踏み切った。
東京都千代田区の三省堂書店は昨年、神戸の児童連続殺傷事件で少年の顔写真を掲載した週刊誌「フォーカス」を、「少年法に違反する」として発売を中止している。JRの駅売店を担当する東日本キヨスクは、全書店の約一%にあたる十数店でしか「新潮45」を扱っていないが、販売を見合わせた。
一方、東京都新宿の紀伊国屋書店本店は「法的に差し止めを受けているわけじゃない」と通常通りに販売。全国五十二の店舗も同様という。東京・港区の旭屋書店でも販売している。
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これでは三省堂が「新潮45」の販売を中止したのかしないのか、よく分かりません。ちょと変な記事ですね。とまれ、この記事の背景にあるのは、三鷹が小耳にはさんだ通りの事態であるようです。
三省堂にしても紀伊国屋にしても、毎日相当数の新刊雑誌や書籍を扱っています。その全ての記事内容をチェックするなど不可能でしょう。朝日新聞が「18日発売の『新潮45』の内容には問題がありますが、おたくでは扱いますか? 扱う場合はそのことを報道しますが、それでもかまいませんか?」てな「電話取材」を行なうことによって初めて「どうすべえ?」となる。
ゆえに、記事の見出しは「少年実名報道の『新潮45』、朝日新聞が広報取材活動により、一部書店での販売を中止させる」とした方が、より正確に事実を伝えると言えるでしょう。
現在の日本に「言論統制」や「検閲」の類があるとすれば、こうした大手新聞の行為は確実にその一つです。
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