韓国が日本まんが「解禁」?

(98/10/21)

 10月20日付産經新聞夕刊一面に「韓国の日本文化開放」という記事が掲載された。「聯合通信によると、韓国政府は20日、日本文化開放第1弾として、日本の映画やビデオ、漫画を解禁する方針を決定した」とのこと。

 映画やビデオのことは知らないが、日本まんがが現在なお韓国で「禁止」されていたというのは意外だ。もう5年以上前から、日韓の出版社同士のライセンス契約により、韓国語版日本まんがは韓国内で堂々と売られている。それが、なぜ今さら「解禁」なのだろうか?

 正式に契約を交わしていない「海賊版」なら、三鷹の知る限り、20年以上昔から韓国内で売られていた。現在、韓国でもまんが文化が花開きつつある。その一部は日本のまんが雑誌にも紹介されている。そうした作品を見れば明らかなのだが、韓国の人気作家の多くは、日本まんがの影響下にある。おそらく、彼らはかつて海賊版の日本まんがの熱心な読者であり、その模倣から創作を開始したのであろう。

 もっとも、韓国語版日本まんがは、単なる翻訳作品ではなかった。背景の事物や登場人物の服装等で、日本を明示するものは、すべて描き替えられていた。改変がストーリーにまで及んでいる例もあった。

 三鷹が実際に確認したのは「がんばれ元気」というボクシングまんがだ。主人公は韓国人少年、彼の父を試合で死に至らしめた敵役は日本人という、原作には無い民族的背景(?)が付加されていた。そして、主人公を慕うヒロインは、当然韓国人少女で、チマ・チョゴリを着て涙を流しながら主人公に声援を送るのだ。服装まで完全に描き替えるには、相当の労力を要しただろうと想像される。「海賊版」から一般に想像される安直な商法とは相容れない、多大な創作エネルギーの注入との評価も可能だろう(笑)

 日韓の出版社でライセンス契約が交わされるようになってからも、韓国側が描き替え許可を求めてくるケースがあった。これも三鷹自身の経験だが、主人公がたまたま下駄を履いているシーンを、木製サンダルに描き替えたい、とのオファーがあった。

 今回の「解禁」とは、もしかして、日本まんがそのものの解禁ではなく、韓国語版日本まんがにおける、下駄に代表される日本的要素の「解禁」なのだろうか? だとしたら、韓国側関係者には失礼かもしれないが、失笑を禁じ得ない。

 想像してほしい。仮に日本政府が「アメリカンコミックの禁止」という鎖国的文化政策を打ち出していたとする。しかるにその実態は、スーパーマンのクラーク・ケントが着ているスーツを羽織袴に描き替え、チャーリー・ブラウンが昼食にぱくつくピーナッツバターサンドを梅シソおにぎりに描き替えるたぐいのものだった、と。そうした描き替えによって、アメコミが、あたかも日本まんがであるかのように、読者をごまかしていた。そうしたごまかしにより、アメリカによる「文化侵略」から日本文化を防衛しているつもりでいた、と。

 さて、今「アメリカンコミック解禁」が打ち出された。スーツもピーナッツバターサンドもOKになった。「大いなる前進」と日本人は喜ぶかもしれない。アメリカ人はどう思うだろう? 失笑するしか無いのではないだろうか、と三鷹は想像する。

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