朝の教育TV(2)
(99/06/24)
7時46分からアニメ「おじゃる丸」。わずか10分のアニメなのだが、すばらしく内容が濃い。「設定」を簡潔に言えば、「千年前の平安朝の貴族のこども・おじゃる丸が、閻魔大王のシャクを盗んで、その超能力で現代にやってきて、平凡な小学生カズマの家に同居し、シャクを取り戻しにやってきた子鬼トリオをはじめ、周囲の連中とバカバカしくも楽しいトラブルを繰り広げる」というもの。「オバQ」や「怪物くん」以来の古典的設定だ。
しかし、その「濃さ」は並みじゃない。主役のおじゃる丸以下、登場人物が犬や牛、虫(「電ボ」という巨大なホタルがおじゃるの従者役だ)の類に至るまで、全員キャラが立ちまくっているからだ。一回コッキリしか登場しない端役のキャラをここまで立ててもしょうがないだろう、とあきれるほど、構成的には無意味なほどに、意味が過剰に充満している。
主役のおじゃる丸の「平安貴族ぶり」は堂に入っている。のほほんと怠惰でわがままで高慢なくせに、依頼心が強く泣き虫で、他人の迷惑を考えず、移り気で欲張りで食いしん坊だ。自分の足で歩くことさえ嫌がり、「牛車」がわりにと、カズマが背中にしょったリュックに入りこんで、ちょこなんとしている。シャクに関しては、どう考えても、盗んだおじゃる丸に非があり、取り戻しにきた子鬼のほうが正しいのに、さまざまな屁理屈を並べて子鬼を煙に巻き、絶対に返そうとしない。プリンが大好物で、プリンを食い続けたいがために、平安朝の両親の心配をよそに、現代に居座り続ける。かくのごとく、とことんろくでもないガキなのだが、すばらしく可愛いのだな、これが(笑)
キラ星のごとき脇役の中で、一段と凄じいのが「うすいさちよ(28歳独身)」だ。(彼女が登場のたびに電ボが「これはこれは、うすいさちよ28歳独身さまではありませぬか」と呼びかける) うすいさちよは、売れない少女まんが家で、内気で陰気で常に額にタテ線の影が入っている。まんが一筋に賭ける情熱と成功願望は並外れて強い。使用済みのティーバッグを干して何度も再利用し、ついでに山でとってきたキノコも干して、保存食糧としている。まさに「赤貧笑うがごとき生活」だ(ベタでゴメン)。原作者の犬丸りんがこうだ(った)とは思わないが、心のどこかで本気で実感せねば絶対に作り出せない、すばらしいキャラクターである。
作品世界の全貌を知るには10分のアニメではとうてい足りず、「**の秘密」的解説本が必要とされる。現に解説本が出版されている。
「おじゃる丸のまったり人生のすすめ」 犬丸りん 定価:本体1400円+税
版元は幻冬舎。郷ひろみに「ダディ」を書かせ、団鬼六のエッセイ(これが実にすばらしい)を文庫版で出版した見城徹が、どういう巡り合わせか、「おじゃる丸」の解説本を出したのだ。これもまた「すげえ」としか言いようがない。
オープニング、エンディングの歌も凝っている。オープニングを歌うのが北島三郎というだけでも十分「変」なのだが、エンディング「プリン賛歌」がまとった「カルト」な匂いのほうが気になる。「だいすきな〜おやにも〜うしにも〜たべさせたい〜プリン」というフレーズを最初に聞いた時の衝撃は、今でも忘れられない。自分が大好物のプリンを食べさせたいほど「大好き」な対象として、「親」と「牛」とが等価に並列されている。ヒンドゥー的価値観というか、なんというか、カルチャーショックに似た一撃を食らってしまった。
この「おじゃる丸」のノベルティーグッズを景品とした納豆が存在するということを、ごく最近になって知った。「金の粒」という商品名だ。三鷹はこの情報を勤務先の「育児ネットワーク」を通じて得た。情報源は、4歳の息子を持つ出版デザイナーで、母子ともにおじゃる丸の大ファンである彼女の家では、毎朝納豆を食いまくり、応募券を集めているのだそうだ。ところで、三鷹が使うスーパー、デパートでは「金の粒」なる納豆など、とんと見かけた覚えが無い。もっぱら買うのは「おかめ納豆」だ。地方限定商品なのではないか、と思うに至った頃に、嫁さんの実家(埼玉)近くのスーパーで、初めて出会った。締切直前に、なんとか1通だけ応募できた。希望賞品は、おじゃる丸のぬいぐるみが付いたこども用リュックだ。
応募しておいて言うのはナンなのだが、納豆はあまり旨くなかった。「おかめ納豆」のほうが旨い。もっとも、塩辛やヨーグルトなどと同様に、納豆のような発酵系食品は一般に、食い慣れたものを美味しく感じるから、三鷹の評価はあくまで三鷹個人のものに過ぎない……と、フォローしておくでおじゃる(笑)
もしも当選したなら、この場でお知らせしよう。
(つづく)
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