特濃・藤岡弘(改訂版)
(99/11/21)
藤岡弘は島田陽子とともに、アメリカで商売が出来た数少ない日本人俳優の一人だ。彼の最大の武器は「濃厚な顔」である。ひと昔前「しょうゆ顔・ソース顔」という分類があったが、藤岡弘の顔はソースもソース、広島のオタフクソースよか濃厚である。
その藤岡弘から今、目が離せない。オートレースのポスターを見た藤岡弘が、興奮のあまり仮面ライダーに変身してしまうというCFを最初に観た時は、「何か悪い冗談ではないか」と、ちょと不安な気持ちにさえなったが、シリーズ何作目かの「レストラン編」は悪夢的とも言える。
舞台は高級レストラン(?) ドレスコードがあるとしたら、それを堂々と無視したサファリジャケットの藤岡弘と、彼の妻とおぼしきクラシックな雰囲気の上品な女性。年配のウェイターが料理を運んでくる。
ウェイター「お待たせいたしました。ブイヤベースでございます」
藤岡弘「は? 今、何て言いました?」
ウェイター「ブイヤベースでございます」
藤岡弘「オートレース?」
妻「あなた、ブイヤベースよ。ブイヤベース!」
藤岡弘「どうしてこんなに血が騒ぐんだ!!」
立ち上がる藤岡弘。その姿はしかし、一瞬でレストランから消えている。
妻「あなたぁぁぁぁ…」(泣き崩れる)
仮面ライダーに変身し、バイクごとオートレース場に突入する藤岡弘。後を追う警備員たち。つづく…
何というか、とうの昔に治癒してたはずのシャブ中ならぬ「仮面ライダー中毒」が、突然フラッシュバックを起こしてカワマタグンジ状態になった困ったおっさん、という感じだ。
その藤岡弘が、NHKの朝の連続ドラマ「あすか」にレギュラー出演している。これは、もう一瞬たりとも目が離せない事態である。藤岡弘が演じるのは、ヒロイン・あすかの父親である京都の和菓子職人だ。どんな役柄でも、藤岡弘の演技は堂々と不変である。「京都人」にしては濃すぎるし、「和菓子職人」としては異色としか言いようがない。特濃とんかつソースをたっぷり使った水羊羹を作りそうで怖い。ドラマ内の時間はどんどん進んでいくのだが、季節が5月くらいになった時が見ものだ。女房の紺野美沙子に「初夏のお菓子はどないしまひょ?」と尋ねられた藤岡弘が、「初夏…ショッカー?」とつぶやく瞬間が、白昼夢のごとく現出するのではないか…と。
仮面ライダー、仮面ライダー、ライダー、ライダー…!
それにしても、この年になってまた「仮面ライダー」を演じてくれた藤岡弘はすばらしい。表面はどうあれ、本質は底抜けにいいひとなんだろうと思う。ぜひとも朝のNHKでも「変身」してほしい。
※その後の「あすか」だが、藤岡弘は「流れ者の菓子職人」という濃厚に暗い過去を持つ男であったことが判明。老舗の有名和菓子の製法を盗んで、他店にベラボーな金で売りつけるという、一匹狼の産業スパイのようなことをナリワイとしていたらしい。藤岡弘の濃ゆい演技は「いつもの調子」じゃなくて、「役作り」の結果だったんですね〜 おみそれしやした。(99/11/26)
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