年休その他の問題
○年休取得と不利益取扱

有給休暇は労働者の権利で原則としてこれを取った事を理由として不利益に取り扱う事は出来ません。(法,付則134条)
とはいえ,判例は,その不利益扱いの措置の趣旨,目的,不利益の程度,年休取得の事実上の抑止力の強弱等の事情を考慮して年休権行使を抑制し,ひては年休権保障の趣旨を失わせない限り,公序良俗違反(民90条)として無効になる物ではないとしています。つまり,ある程度の不利益扱いは認められる事になります。(努力規定)

年休を取得した場合に欠勤と取り扱わない範囲で皆勤手当を減額したり不支給にする事は許されるそうです10※
逆に公序良俗(民90条)に反して許されない12※のが,昇給の要件の出勤率に算定する場合に欠勤扱いにしたり,賞与の計算の欠勤扱い等です。いずれ欠勤扱いなどにする事は出来ません11※
○取りきれなかった有給休暇はどうなる?

その年に取りきれなかった分は1年だけ次の年に繰り越されます。その次に繰り越されないのは時効にかかるからだと言うことは述べました(法115条)。
消化できなくて時効にかかってしまった有給休暇を買い取る会社もあります。これは特に違法では有りませんが,時効にかかる前に買い取ってしまって有給休暇を取らせない事は違法です。
<計画年休>

実は年休は使用者が無理矢理取らせる事も出来ます。
過半数労働者を代表する者や過半数を組織する労働組合との書面による協定があれば5日の年休を残して残りは計画的に取らせる事が出来る様になっています。
この協定では休暇を取らせる日を指定するときもありますし,全員がまとめて取れない場合は計画表を作成して取らせる場合が有り,その場合は作成手続などを定める必要があります。これは反対した労働者も拘束しますので注意です。計画年休に反対して勝手に出勤しても指示による物ではないので,年休は減ります。
有給休暇も結構複雑ですね。次回は法定労働時間を変形して使うという方法を話します。馴染みが無いと思うかもしれませんが実はあなたの会社でも使っているかもしれません。結構一般的です。

1※参照:同じ単元中に後述の「時期変更権」を参照して下さい。
2※最初の半年は半年,その後は一年ごと:つまり次の有給が発生するまでの期間→発生を早めた場合はその早めた日を基準とする。
3※判例:時事通信社事件,
7※判例:静岡銀行事件,静岡地判昭53,3,28
8※判例:レストラン「ビュッフェ」事件,大阪市販昭61,7,30
9※解釈:昭和22,9,13基発17号,4※
10※判例:沼津交通事件,最二小判平5,6,25
11※解釈:昭和63,1,1基発1号
12※補足:直接に法134条から私法的効果を導く事は出来ない事に注意。
13※日付:かすの誕生日
※全体につき:菅野264〜280P,228〜240P
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